米大統領選を中間選挙よりも左右する?「保守化最高裁」の判決リスクトランプ政権で任命された判事が主導して米最高裁の保守的判決が相次いでいます。秋以降、次の大統領選を左右しかねない審理も予定されていて最高裁発の激震が走る懸念がある(写真は中絶を禁止するミシシッピ州法に抗議して、連邦最高裁の前に集まるデモ参加者たち) Photo:Chip Somodevilla/gettyimages

中絶権利見直しや銃規制違憲判決
保守派の判事が“本領”発揮

 米最高裁判所が6月30日に、昨年10月に始まった会期を終えた。

 妊娠中絶の権利見直しを筆頭に、州政府が行う銃規制に対する違憲判決や環境保護庁(EPA)による気候変動対策を制限する判決など、大きな論争を巻き起こす判断が相次いだ。

 トランプ政権の指名で多数派となった保守派の判事が、その本領を発揮し始めたものだ。

 今回の会期では6人の保守派の判事と3人のリベラル派の判事が対峙する判断が急増し、従来は半数程度を占めていた判事9人が一致する判決は、全体の3割を割り込むまでに急減した。

 最高裁の判断が保守的な方向に大きく変わる判決の連続に、全米共通の司法試験を運営する全米司法試験委員会が、受験者に「今会期の最高裁の判断に精通する必要はない」と通知したほどだ。

 秋に再開される次の会期では、2024年の大統領選挙の行方を左右するような審理も予定されている。最高裁発の激震が、米国の政治や社会を大きく揺るがせる事態がまた起こり得る。