サイバーエージェントが新入社員の初任給を42万円に引き上げた。一方、それと同時期に有名大企業の働き方に関するニュースも目にした。サイバーエージェントはいい就職先なのか。有名大企業との比較も交えて考えてみたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
「働き方」の二つのニュース
一つは良い、もう一つは残念
日本企業の経営と労働者の働き方に関わる二つのニュースが目についた。
一つは、ソニーグループ、キリンホールディングス、SOMPOホールディングスといった日本の主要企業が、社員のリスキリング(学び直し)で連携する協議会の設置が発表されたことだ。経済産業省と金融庁の支援の下に8月に「人的資本経営コンソーシアム」なるものを設置するという。社員が相互に兼業・副業する仕組みを設けたり、共同で学び直しの場を提供したりすることが検討されるらしい。
もう一つは、サイバーエージェントが2023年度の新入社員の初任給を42万円に引き上げることを発表したというニュースだ。22年春入社の社員と比べて2割を超える大幅な増額となる。人材獲得の競争が激化する中での、同社の経営戦略だ。
筆者は、一方を「良いニュース」だと思い、他方を「残念なニュース」だと思った。
ポジティブに解釈したのはサイバーエージェントの初任給引き上げだ。
率直に言って、新卒時点で相対的に優秀な社員を採用することの価値は極めて大きいはずだ。