女性側に拒否権
しかし4人まで妻帯を認めるといっても、それは男性側の一方的な権利ではなく、同時に男性側に課せられた義務が存在します。
たとえば2人目、3人目の妻を迎える場合には、それまでの妻の了承を得なければなりません。
女性側に拒否権が認められているのです。
また、一人目の妻に真珠の首飾りをプレゼントしたら、他の妻にも相応のプレゼントが必要となります。
そして愛することも、平等でなければなりません。
一人目の妻と寝ていても、2人目の妻が私も寝たいといえば、一緒に寝なければなりません。
このように4人の妻を持つということは、あくまでも4人を平等に遇することが大前提となっているのです。
これは経済的にも肉体的にも、たいへんな負担となります。
現実にイスラームの社会では王族などごく一部の例外を除いて、ほとんどの家庭は一夫一婦制の生活を営んでいます。
またムハンマドは、男尊女卑が一般的であった時代に、女性の財産権を認めています。
同等ではなく男性の半分なのですが、当時のヨーロッパでは考えられないことでした。
『哲学と宗教全史』では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を、出没年付きカラー人物相関図・系図で紹介しました。
僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。
(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)