真のママ友の世界の見えないヒエラルキー

 ママ友とのお付き合いが、少し慣れてくると、ママ同士でお友達を紹介し合うようになります。私の場合はこのように紹介されました。

 「こちら○○ちゃんのママ、旦那さまはT大病院の外科医なのよ」 

 こう紹介をされて、最初に違和感を持ちました。普通は、「こちら○○さん、音楽家なのよ」ですが、ママ友同士で紹介される際に、私自身の情報は「ママ」ということだけです。

 そう。この紹介文には私の情報がほとんど含まれていません。名前すら入っていないのです。

 このことからわかるように、ママ友の世界では、ファミリーの情報が最重要になってくるのです。

 なぜならば、新しい友達同士は相手の性格もわからなければ、どんなことをしている人かもわからないので、必要な情報は、次の2つになることが多いです。

(1)子どもの月齢 
自分の子と月齢が近いほど親近感が湧き、情報を共有できるから。

(2)夫の職業、そのファミリー
職業によって、相手がどの程度の年収、モラル、常識を持ち合わせているのか判断できるから。

(2)に関しては、職業で人を判断しているようで、嫌な人も多いと思います。しかも夫の職業で自分のことを判断されているようで、私もとても嫌でした。

 しかし、なぜ夫の職業がママ友付き合いに関わってくるのかには、実は「子どもを守るため」という理由もあったのです。

大人になって、よく知らない人と仲良くするために必要な情報とは

 ママ友同士は子どもがいるということ以外、何もわかりません。

・どんなふうに育った人なのか
・どんな価値観を持っている人なのか
・金銭感覚はどうなのか
・子どもの教育はどんなふうに考えているのか

 よく考えると、相手に対してわからないことだらけですよね。

 例えば、大通りを歩いている人と無差別に友達になってくださいと言われたら、あなたはどうしますか?

 大概の人が、何も知らない人達に対して、年齢、服装等々、自分に似ている人を無意識に選ぶのではないでしょうか。それは、その人と友達になったときに、価値観が違う等の驚くようなリスクを回避するための術でもあるはずです。

 リスクと書きましたが、このような友達の作り方は、とても不安と未知に満ちていると思いませんか?

 ママ友にも同じことがいえます。見知らぬ人同士が、子どもがいるという共通点だけで友達になるのですから、「道行く人に急に友達になってみてください」と言われるのと同じくらいの不安と未知に満ちています。

 そして、そのリスクは、生まれたばかりの我が子の危険にも直結してしまいます。それらを回避するためにも、紹介文の一言で「ファミリー」の情報が必要になるのです。

 もちろん夫だけでなく、妻の職業や肩書も判断材料の一つとして有効ですが、このような、一見、ママ友を作るにあたり何も関係ないような夫の肩書まで必要になるのは事実で、夫の肩書が紹介文に使われるのは、子どもをリスクから回避させ守るために、必要なことだったからなのです。