米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が、金融政策について多くを語ることをやめる考えを示唆したのは、わずか1週間前のことだった。しかし、その姿勢は長続きしなかった。一部のFRB当局者は、パウエル議長が先週言っていないはずのメッセージについて、議長にそんな意図はなかったと市場に警告して回っている。ここで問題にしているのはフォワードガイダンスだ。フォワードガイダンスとは、金融政策に関する声明、記者会見、経済見通し、講演、メディアへのリークなどを通じ、連邦公開市場委員会(FOMC)で今後どんな対応が取られる可能性が大きいのかについてFRBが市場にシグナルを送る慣行のことだ。FRBは2008年以降、フォワードガイダンスを積極的に活用してきた。それは、当局者の強い意思表示によって長期金利に影響を与え、市場の乱高下を防ぐことができるとの考えに基づいている。