ジョー・バイデン米大統領は自らの功績の一つとして米経済の力強さを引き続き誇示し、実際の景気動向は指標が示す以上に底堅いと主張している。一方で、インフレが高止まりする中、物価高騰による国民の痛みを理解しているとも強調している。5日発表された7月の雇用統計では、就業者数の伸びが52万8000人と大きく上振れた。米経済はこれで新型コロナウイルス禍で失った雇用をすべて取り戻したことになる。失業率は3.5%と、約半世紀ぶりの低水準に並んだ。バイデン氏は雇用統計の発表後、「これで給与がもたらす尊厳と心の安らぎを手にした家庭が数百万世帯に上る」と述べた。だが、厳しい経済指標が公表されると、バイデン氏と側近はデータは不完全または古いものだと反論することが多い。その上で、インフレ率が40年ぶりの水準に跳ね上がっていることには触れず、景気に関する前向きな情報を大量にソーシャルメディアに流している。6月の米消費者物価指数(CPI)は、1982年1月以来の高い伸びを記録した。