また、日野自の今回のエンジン不正拡大の影響は、国内にとどまらないだろう。そもそも事態が発覚したのは、北米でのエンジン認証をめぐって問題が発生し21年9月まで米国・カナダ工場で生産が停止したことが発端だ。それが国内に飛び火したものともいえる。

 特別調査委の不正拡大報告を受けて会見した小木曽社長は「状況の深刻さを重く受け止めている。経営として直接関与はないが大きな責任があり、責任の所在を見極めて対処する。再発防止を徹底し再生に向けて真摯に取り組んでいく」と、何度も深々と頭を下げて陳謝した。

 日野自動車は、01年にトヨタ自動車が株式の過半数(50.1%)を取得して子会社化したトヨタグループの一社であり、トラック・バス商用車メーカーの国内最大手である。トヨタは、子会社化により01年から日野自にトップを送り込んできた。小木曽社長も21年6月にトヨタから転籍して就任したばかりだ。

 そのため、日野自が今回の不正から再生の道筋をつけるのに、トヨタも関与してくることは必然的だ。その意味では、日野自としての自社再生の方策とともに、日野とライバル関係にあるがトヨタと再資本提携したいすゞ自動車との接点が気になる。