もともと熱帯産で高温多湿の環境を好むゴキブリ。「夏のゴキブリ」はとりわけ元気ハツラツで、活発な動きを見せます。おかげで、わが家を俊敏に動き回る彼らと邂逅し、夏の恐怖を味わった経験のある人も少なくないのではないでしょうか。今回は、家の中で彼らと「望まぬ出合い」をしないために、侵入経路や潜伏場所、駆除のコツをお伝えします。(住生活ジャーナリスト 藤原千秋)
なぜ「嫌われ者」のゴキブリは
人間と共存できるのか
ゴキブリ。ご存じ、平べったくテラテラした茶黒色の昆虫。たかが1~4センチのちっぽけな虫のくせに、出くわした人間に緊張感と絶望をもたらす存在です。
毒針があるわけでも気味の悪い鳴き声を上げるわけでもないのに、なぜだかとっても恐ろしい虫です。
ゴキブリはその起源を2億~3億年前に持つとされる古い昆虫ですが、人類と生活を共にして100万年以上がたつといわれています。つまるところゴキブリは、私たちの住まいや生活と、ずっと共存してきたことになります。
なぜゴキブリは、これほど人間から忌み嫌われているにもかかわらず、人間と長期間にわたって共存できているのでしょうか。
その一因は、ゴキブリが夜行性であることです。昼に活動し、夜に眠りにつく私たちとは真逆で、基本的に活動時間が重複しません。
もう一つの要因は、人間のそばにいることで、快適な環境やエサにありつけることです。
ゴキブリは夏でも25℃から30℃程度の気温を好みますが、それは人間の適温と一緒です。雑食性のゴキブリは人のそばではエサにも困りません。たとえ生ゴミがなくても人毛、ふけ、仲間の糞や死骸すらエサになります。
また、ゴキブリは水だけでも1カ月は生きることができます。上記のエサが少ない環境だったとしても、民家にいる限り、人の出す汗の湿気、トイレ、風呂などの水分には年間通して不自由しません。
さらにゴキブリは、暗くて狭い空間での群居(群れをなして住むこと)を好みます。この点において、人の住まいにおける薄暗い隙間は、家具や家電の裏側など枚挙にいとまがありません。
ある意味、私たちはありのまま生活しているだけで、ゴキブリにとって極めて好ましい環境を提供してしまっていると言っても過言ではないでしょう。
ですが、そんなゴキブリと自宅でエンカウントする機会など、減らせるものなら減らしたいものです。そのためには一体、どうすればいいのでしょうか。