マスコットキャラクター くまモンブラジル・サンパウロの「ジャパン・ハウス」で開かれたイベントで、南米デビューを果たした熊本県のPRキャラクター「くまモン」(2018年11月3日) Photo:JIJI

ゆるキャラブームもすっかり落ち着いたと思われているが、実は「くまモン」の人気はアジアを中心に伸び続けているという。コロナ禍でイベントができなくとも、ご当地キャラが生き残る道を示すくまモン。ご当地キャラなどのIP戦略のコツを熊本県「くまモングループ」の松川明弘氏に聞いた。(清談社/沼澤典史)

既存の方法にとらわれない
PRで全国区の存在に

 くまモンは熊本県のPRキャラクターで、「ゆるキャラグランプリ2011」で王者になったことをきっかけに全国区の知名度を得た。そこから、徐々に世界進出を果たし、2017年にはフランス観光親善大使に任命。また、昨年12月に開設された中国の動画SNS「bilibili」のチャンネルは日本国内向けYouTubeチャンネルの登録者数3万人を大きく超える約10万人となっている。

 グローバルな人気を誇るくまモンだが、プロジェクト当初は「海外なんてまったく想定していなかった」(松川氏)という。

「もともと、くまモンは2010年、翌年の九州新幹線全線開通に向けて企画された熊本のPRプロジェクトの中で生まれました。この『くまもとサプライズ』運動と銘打ったプロジェクトでは、県出身の放送作家で脚本家の小山薫堂さんにアドバイザーをお願いしました。そして、小山さんのお知り合いだったアートディレクター・水野学さんに運動のロゴデザインを制作していただきました。その際に『キャンペーンをするならキャラクターが必要でしょう』ということで、水野さんのご好意で提案いただいたのがくまモンなんです。なので、僕らがお願いして作っていただいたわけではない、偶然の産物なんです」

 ひょんなことから誕生したくまモン。PR活動は主に関西をターゲットにしていたため、くまモンの活動場所は主に大阪だった。