米小売り最大手ウォルマートの掲げる低価格戦略「エブリデー・ロー・プライス」は利益率を犠牲にしつつ、幅広い顧客の呼び込みという形で見返りをもたらしている。16日発表した5-7月期(第2四半期)決算によると、ウォルマート・ブランドの米既存店売上高は前年同期比6.5%増と、先月時点予想の6%増を上回った。また営業利益、調整後利益ともアナリスト予想を上回った。この2つの業績指標は先月の見通し下方修正に伴い、アナリスト予想も下がっていた。ウォルマートは2023年1月期通期の営業利益の見通しを11~13%減から9~11%減に引き上げた。決算会見を受けてウォルマート株は買われ、6.77%高で引けた。ウォルマートのバリュー価格の設定は足元の物価高で明らかに奏功している。経営陣の電話会見によると、中・高所得層でウォルマートの店舗に足を運ぶ消費者が増えており、低所得層は忠実な顧客であり続けている。米労働省が発表した7月の消費者物価指数(CPI)によれば、食品価格(外食除く)の前年同月に比べた上昇率は13.1%と6月から加速し、1979年以来の高い伸びを記録した。こうした物価高が一部の食品のトレードダウン(買い物をする店のランクを下げる)につながっている。例えば、ウォルマートではデリミートの代わりに、より低価格のホットドッグ、ツナ缶、チキン缶を選ぶという消費行動が観察された。