値上げを避けたい企業が取るべき
3つの対応策がある

 そもそも、経営において絶対的に重要なのは「最終的に利益を出すこと」です。そうでなければ株主も銀行も企業にお金を出してはくれません。

 今回、すべての日本企業が置かれた状況は急激なコスト上昇です。その状況下で利益を出すためには論理的には値上げをするのが正しいわけです。言い換えれば、2022年の企業経営は、いかにうまく値上げができるかどうかで命運が分かれます。

 ちなみに「コストが上昇しても値上げをしない」場合にも、企業努力という名の3つの対応策があります。以下の3つです。

(1)売り上げを大幅に増やす
(2)生産性を大幅に上げる
(3)賃金をなるべく減らす

 ガストの場合、そもそも売り上げが減少する環境下で、過去2年できる限り生産性を上げて「売り上げ減でも利益は微減」を達成してきました。(1)(2)に関しては最大限の努力をしてきたのです。

 そして、(3)に関しては正反対の行動をとっています。国の最低賃金の賃上げを受け入れるだけではなく、過去2年分の給与計算を見直して従業員に還元することまで踏み切っているのです。

 いったいどのように従業員に還元したのか、具体的に確認しましょう。

 まず、すかいらーくグループではそれまで賃金計算は、5分区切りで行っていました。5分未満の労働時間では給料が発生しなかったわけです。これを新たに1分区切りで、より正確に行うことに変更しました。

 その際に過去2年間にさかのぼって同じルールで給与計算をし直して支給することを決めたというものです。値上げラッシュで生活が苦しくなってきた従業員にとっては助かる話だと思います。

 さて、ガストの場合は(1)〜(3)の企業努力をすでに行っており、「値上げをしない」という選択肢が取れない状況です。そのため、やるべきことは「いかにうまく値上げをするか?」という一点に尽きます。