「大阪」沈む経済 試練の財界#11提供:NTT西日本

NTTが異例の「万博人事」だ。NTT西日本のトップに、海外畑のエースである森林正彰氏が就任したのだ。NTTの幹部は、「大阪・関西万博はグローバルなイベント。森林の果たす役割は大きい」と語る。20回超にわたり公開予定の特集『「大阪」沈む経済 試練の財界』の#11では、NTTの万博出展の狙いと大阪経済の課題を、森林氏に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

NTTの海外畑のエースが感じた
関西経済界の課題と“気質”

――NTT西日本のトップとしては海外畑が長く、珍しい経歴です。

 そうですね(苦笑)。約30年前の入社直後の配属先は名古屋で、その後、北九州の支店にちょっとだけいました。愛知県と福岡県に計3年半いただけなので、確かに関西や西日本と深い縁があったわけではありません。

 ただし、海外が長いといっても、例えばNTTコミュニケーションズの時代は国内ともかなり連携していました。関西に顧客がいたので、大阪出張もよくしましたよ。パナソニック(当時)や村田製作所、ダイキン工業などといった大企業を訪問することが多かったですね。

――今の関西経済の状況をどう見ていますか。

 一般に公表されていることですが、関西の現在のビジネスの状況は決して良くはありません。1人当たりの府・県民所得も落ちて低迷しており、中長期的な数字もあまり良くないと考えています。

 それでも、直近では大阪・関西万博が影響しているかもしれませんが、個人消費や設備投資は持ち直しの動きがあるかなと感じています。関西の企業や経済団体もそこは意識していて、万博を契機に上向かせたいと考えているのでしょう。

――関西経済界独特の“気質”のようなものは感じますか。

 あんまり表立って口に出されることはないのですが、東京への対抗意識というか、関西で成果を上げたいという気持ちのつながりがあるように感じます。企業や経済団体に関西のための組織がありますし、産学官の連携にしてみても、「関西の中で何かをやりたい」という結び付きの強さを感じます。

――大阪経済の特徴は何でしょうか。

 例えば名古屋ではトヨタ自動車の位置付けが大きいですよね。ですが、大阪は、さまざまなビジネスの分野のそれぞれが、それなりの存在感を持っています。金融も製造業も製薬も、それぞれにかなり強い企業がある。何か一つではなく、さまざまな業種がそれぞれ頑張っているのが大阪の特徴ではないでしょうか。

――現状の関西経済の課題は何でしょうか。

 関西に限ったことではありませんが、日本のマーケットだけを見ていると、人口減少の影響があるため、どうしてもビジネスの伸びが限られ、厳しい状況です。目を向けるべきはグローバルな市場。また今はコロナ禍で滞っていますが、海外から来るインバウンド客の復活が必要だと実感しています。

NTTグループに君臨する総帥、澤田純・日本電信電話(NTT)会長から直々にNTT西日本のトップに指名された森林氏は海外畑が長く、関西エリアは門外漢だ。今回のトップ人事について、森林氏は「万博をやりに来たとは思っていない」と断言する。次ページでは、森林氏が思い描く関西経済の復活構想や、NTTの万博出展の狙いを明らかにする。さらに、自身の海外経験を大阪でどう生かすかや、関西財界で“新参者”として人脈づくりをどう進めていくのかを語ってもらった。