島田明・NTT社長Photo by Masato Kato

“NTTグループの破壊者”として強烈な個性を発揮した澤田純氏が4年間の任期で社長を退任。第9代NTT社長に就任した島田明氏がダイヤモンドのロングインタビューに応じた。1999年のNTT分割・再編成以来の歴史的なグループ再編の行方とともに、社会インフラを直撃したKDDIの大規模障害について赤裸々に語る。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)

通信障害は大規模化の傾向
業界全体に突き付けられた課題

――まずは、KDDIで発生した過去最大級の通信障害について伺います。86時間という障害時間の長さだけではなく、物流や金融システムを直撃して社会インフラに深刻な影響を与えましたが、日本最大の通信グループのトップとして何を感じましたか。

 全く人ごとではないということです。われわれのグループのNTTドコモだって、昨年10月に大規模障害を起こしています。KDDIの障害の詳細はまだ分かりませんが、ドコモを含めてIoT(モノのインターネット)時代の通信ネットワークのオペレーションを考えなさなければならないという課題を突き付けられているのだと感じます。

 KDDIとドコモの障害の原因となった「輻輳(ふくそう。通信回線のアクセス集中による混雑)」については、昔から起こる事象でした。ただし、以前なら大みそかから元日にかけて「あけましておめでとうの通話やメールは控えて」と呼び掛けて混雑を避けるという工夫で済んでいましたが、IoTの時代になると機械が自動的にデータ通信を送り続けるので、輻輳のコントロールが格段に難しくなっています。

 ネットワークの一部で小さな断絶があると、端末が自動的にユーザーの位置情報などのデータを繰り返し発信しようとするので一気に混雑する。その混雑を抑えるために通信の一部を切って復旧しようとすると、また一気にデータが集中するという現象が起きてしまう。つまり、輻輳が起きやすくなっている上に、それを回復するのも以前より難しくなってきているのが現状です。

――だから、通信障害は大規模化しやすいのですね。対策はあるのでしょうか。