「大阪」沈む経済 試練の財界#14Photo:PIXTA

コーポレートガバナンス改革の加速で、東京に次いで上場企業が多い大阪でも、社外取締役の需要が高まっている。大阪に本拠を置く企業の社外取の報酬や兼務の実態とは。20回超にわたり公開予定の特集『「大阪」沈む経済 試練の財界』の#14では、推計報酬額が高い大阪企業と東京企業の社外取トップ50の実名をそれぞれ公開する。大阪の首位は、関西地盤の名門企業の元首脳で総報酬額は4900万円だった。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希、清水理裕)

「大阪でも足りない」社外取
高報酬額の社外取「トップ50」

「社外取にならないかと声が掛かる。大阪でも足りないようだ」

 関西を地盤とする、ある流通大手の元役員はそう打ち明ける。この元役員は、大阪や東京の上場企業2社で社外取締役を務めるが、来年度に向けた企業からのアプローチが激しいという。

 経営を監督するためのコーポレートガバナンス(企業統治)改革の急加速で、企業には社外取の増員や取締役会の多様化が求められている。

 それによって生じているのが「社外取バブル」ともいえる特需だ。社外取のポストはどんどん増えているが、担い手はまだ限られる。売り手市場によって、数社の社外取を掛け持ちする「兼務」が広がり、報酬もうなぎ上りだ。

 ダイヤモンド編集部は、特集『社外取「欺瞞のバブル」9400人の全序列』で、日本の上場企業の社外取「全9400人」を徹底評価した本邦初の独自ランキングを作成し、データを基に社外取の実態をあぶり出した。

 今回は東京に次いで上場企業が多い大阪の社外取の推計報酬額を基に総報酬額を算出。大阪を拠点とする上場企業の社外取トップ50の実名ランキングを作成した。

 作成に当たっては、有価証券報告書のデータを基に、社外取の報酬額を独自に試算。複数社兼務の場合は、全社の金額を合算して実際受け取っている報酬額に近づけた。

 次ページでは、大阪の社外取トップ50の実名ランキングを完全公開する。トップは、4900万円の報酬を受け取る関西の名門企業の元首脳だった。上位には、関西財界の大物が目立った。また、大阪のトップ50の待遇と東京のトップ50の待遇も比較する。東京の顔触れと比べ、大阪ならではの特徴も浮かび上がった。