「1人で何社も社外取を掛け持ちするのはあり得ない」――。そんな声もある中、上場企業だけで5社の社外取締役を兼務し、他にも監査役や自治体の参与なども務める“つわもの”がいる。ダイヤモンド編集部は、日々の仕事ぶりや報酬について聞くべく、本人を直撃。特集『社外取「欺瞞のバブル」 9400人の全序列』の#17では、公認会計士でビッグ4出身の“日本一激務”の社外取こと大久保和孝氏が、分刻みのスケジュールの合間を縫って取材に応じた。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
社外取は上場企業だけで5社!
コンサル業や自治体の参与も
――とてもお忙しいとのことですが、現在はどういった企業に関わっているのでしょうか?
元々、EY新日本有限責任監査法人で経営専務理事をしていました。今は独立して、コンサルティング会社の大久保アソシエイツで代表取締役社長をしています。
上場会社の役員は、次の6つ(うち1社は社外監査役)です。
・サーラコーポレーション 社外取締役
・サンフロンティア不動産 社外取締役
・ブレインパッド 社外取締役
・武蔵精密工業 社外取締役
・LIFULL 社外取締役
・セガサミーホールディングス 社外監査役
その他、PCR検査の会社のSS Dnaformで代表取締役社長を務めています。非上場では、商工組合中央金庫(商工中金)の社外取締役、地方自治体の参与、ベンチャー関連など多数の職務を兼任しています。
新幹線でオンライン会議?
“日本一激務”のスケジュールとは?
――普段はどんなスケジュールで仕事を回しているのでしょうか?
基本は上場会社中心です。とにかくこなすので精いっぱいですね。
――全ての取締役会に出席しているのですか?
各社が日程を調整してくれているのでほとんど100%です。1社だけ8割ぐらいかも。
――3月決算の会社が複数ありますが、重なることはありませんか?
それは調整してもらいます。取締役会が月末などに集中するときもありますが、幸いにもそんなにかぶりません。
本特集では、上場企業3700社の社外取「全9400人」を報酬、兼務数、業績などで徹底評価したランキングを公開している(『社外取締役・実名ランキング【上位4000人】報酬、兼務、業績で9400人の全序列を初試算』参照)。それを見れば分かるように、大久保氏は上場企業の社外取兼務数トップだ。いったい大久保氏は、どれだけ報酬を得ているのか。これだけ仕事を抱えている同氏が、報酬に見合った働きをしているのかということも、気になるところだろう。次ページでは、大久保氏のある1日のスケジュールを紹介するとともに、なぜこれだけのオファーが同氏に殺到するのかも明らかにする。