修繕工事の主役は管理組合
管理会社を上手に利用しよう

 以下に、管理組合が直接工事を発注する場合、管理会社に依頼したい対応を列記する。

1)管理組合が指定する業者に、見積もり依頼の連絡をする。
2)現地(マンション)を訪問した業者に、図面を閲覧させたり、現場を案内したり、修繕依頼箇所の不具合状況や過去の修繕履歴などのヒアリングに応じる。
3)管理組合から指示があれば見積書を代理受領し、複数社に見積もりを依頼した場合には、見積金額や内容を比較した資料を作成し、理事会に提出する。
4)理事会が決定した業者と管理組合が契約する場合、管理組合から要請があれば、管理会社が事務代行者として契約を締結する。
5)工事日を確認して住民に掲示し、注意事項を周知する。
6)工事が終わったことを確認する。
7)残材の持ち帰り、片付け清掃の完了を確認し(完了確認)、注意事項(養生期間、操作方法、取り扱い説明など)や保証書、取扱説明書などを受領し、管理組合に報告して引き継ぐ。
8)業者からの管理組合宛て請求書を受領し、管理組合所定の手続きを経て支払いを代行する。
9)組合員や理事会から、不具合やクレームの申告があった場合には、業者に連絡して善処を要請し、改善のための窓口業務を行う。

 なお、上記の4)については、たとえば電気、水道、保険などはこのスタイルで、管理会社が代理契約しているケースがほとんどである。一方、理事長が管理会社と直接契約しても問題はない。

 また、6)については、高所の作業や汚水槽の内部といった危険箇所までは、管理会社の担当者では対応できないため、担当者が目視で簡単に確認できる範囲に限るべきである。また、この確認については、業者が履行確認書面への署名や押印を求めてきた場合、そこまで管理会社に依頼するのか、あるいは理事会の理事が直接対応するのかなど、あらかじめ取り決めておく必要がある。なお、このことは7)の完了確認にも該当する。

 こうしたことを、修繕工事を実施するにあたっての仕組みとして作っておけば、輪番制で就任したての新しい理事でも、管理会社が出してくる見積もりに左右されることはなくなり、本当に必要な修繕工事を、適切な金額で行うことができるようになるだろう。

 管理会社には、次の重要事項説明がなされるタイミングで、ぜひ上記の内容を示し、「当管理組合の管理業務の一環で、これらのことを御社に期待していいですね」と迫ってみよう。フロント担当者は顔を引きつらせながらも、「当然やります」と言わざるを得ないだろう。そして、やると約束させたことは、詳細に契約内容に盛り込むという姿勢を貫けばよい。

 マンションを維持・管理する当事者は、あくまでも管理組合である。管理会社とは良きパートナーとして上手に付き合うことは当然だが、管理会社に遠慮することなく、こうした仕組み作りを行うことが最重要課題といえる。理事の皆さまの健闘を祈りたい。