人にも優しい“魅せる工場”を目指し生産現場のスマート化を推進

東西の交通の要衝にあって先進的なものづくりが根付いてきた滋賀県長浜市。そのDNAを受け継ぎ、人とテクノロジーの融合による独自の“魅せる工場”を目指す企業がある。サンオクトだ。(取材・文/大沢玲子)

人にも優しい“魅せる工場”を目指し生産現場のスマート化を推進代表取締役社長・尾﨑隆氏

 1989年、大手センサーメーカーの協力工場として自動ドアセンサーの生産からスタート。多種多様なセンサーを中核に非接触温度計や水質測定器など幅広く手がける。「ファブレスメーカーを支えるものづくり企業として、部品調達から実装、組み立て、物流までを一貫して請け負うのが特徴です」と2009年よりトップを担う尾﨑隆氏。試作段階の設計改善や生産計画の立案、製造に関わる検査機や自動機、治具工具の内製化まで手がける幅広い対応力と技術力が強みだ。

 さらに、13年頃から設備投資や生産工程の変革に注力。「働く社員の負荷を軽減し、生産性改善、省力化、品質向上のため、生産現場のスマート化にかじを切りました」(尾﨑氏)。

デジタル屋台×ロボットで
生産性向上、省力化を実現

人にも優しい“魅せる工場”を目指し生産現場のスマート化を推進「デジタル屋台」では社員1~3人で製品の組み立てから梱包までを担当

 特徴は「ワークセンター生産方式」と呼ぶ、1~3人のチームで部品出しから組み立て、梱包まで、“1個流し”で一貫して行う多能工生産方式を取っていること。多品種少量、変種変量生産への対応を可能とする同社流「セル生産」を支える仕組みには、二つのポイントがある。

 一つがITと生産設備を融合した「デジタル屋台」の導入だ。作業指示を表示するモニター、電動工具、部品棚のセンサーなどが連携し、作業手順の指示や品質のチェックが実現するものだ。液晶画面の作業指示を見ながら、LEDライトが指し示す部品や工具を使って組み立てていけば、スピーディーに製品が完成する。