「4年生になって子どもの成績がガクッと落ちた」という相談を受けます。原因は「概念力」の不足です。放置すると子どもの学力が全教科で伸び悩みます。しかし家庭で「あること」を実践するだけで、概念力が身に付き文章題も得意になります。特集『わが子が伸びる!子育て百科』#2では「文章題が得意な子の親が死守する“鉄の掟”」について、教育サービス事業大手やる気スイッチグループ執行役員の鈴木愛子氏が徹底解説します。
“10歳(小4)の壁”の正体は
概念力の不足だ
「小学3年生までは、テストはほぼ満点ばかりだったのに、4年生になるとガクッと点数が下がった」「4年生になって子どもが急に自信をなくした」というご相談を受けることがあります。“10歳(小4)の壁”といわれる現象です。耳にしたことがある方もいるかもしれません。
これには、学習内容の「質の変化」が関係しています。小学校中学年になると文章問題や応用問題が増え、問題の意味が十分理解できなくなってしまうのです。
さらに、学習内容に抽象的な“概念”が増えることが原因のひとつといわれています。“10歳(小4)の壁”の正体は、概念を自分の言葉で理解する「概念力」の不足なのです。
「概念力=言語力=教科としての国語」と思われがちですが、これは大きな勘違いです。実際には、算数や理科、社会、などすべての教科に関わってきます。つまり、つまずきはすべての教科で起こり得るのです。
概念力はあらゆる教科を習得する上で、今後ますます必要となります。今年7月に結果が公表された2022年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を見ても、算数ではグラフから情報を読み取って答えることや、理科では知識を日常生活に関連付けて理解することなどが求められています。新学習指導要領が重視する「主体的・対話的で深い学び」を意識した出題で、反復学習ではとうてい太刀打ちができない類の問題です。
では、概念力を身に付けるために、どのような学習をすれば良いのでしょうか。次ページからは誰でも家庭で簡単に実践できる具体的な方法を解説します。