沈むゼネコン 踊る不動産#2Photo by Kosuke Oneda

東京駅近くの超高層ビル「大手町プレイス」を巡る争奪戦が数日後にクライマックスを迎える。国内史上最高の売却価格になる可能性が濃厚とされ、溢れる投資マネーを抱えた外資大手ファンドが買い手の最有力候補と目されてきた。ところが入札間際になって風向きが変わり、日本勢が優勢に転じた。特集『沈むゼネコン 踊る不動産』(全20回)の#2では、大手町プレイスの入札を通じて投資マネーの異変を伝える。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮、臼井真粧美)

過去最大級の入札で最有力が一転
外資勢から国内勢に風向きが変わった

 東京駅近くにある超高層のツインタワービル「大手町プレイス」を巡る争奪戦がクライマックスを迎える。国が保有するイーストタワーなどを売却するもので、数日後に入札が行われるのだ。

 簿価2400億円で、当初3000億円規模の売却価格になると見込まれていた。その後さらに4000億円規模まで膨れ上がるとの見方が強まっていった。2021年に取引された電通本社ビルの売却価格は、国内のビル売買で過去最大級の推定約3000億円。これを上回る国内史上最高額になる可能性が濃厚というわけだ。

 買い手として最有力候補と目されたのは、米ブラックストーン・グループをはじめとした外資大手ファンド。売却価格の見立てが4000億円規模までつり上がったのも、世界で溢れ返っている投資マネーの注ぎ先に窮した外資ファンド勢が入札に名乗りを上げたことによる。彼らは日本でも大きな買い物をしたいのに、売り物件が少ないことに悩まされてきた。

 しかし、この過去最大級の不動産売買において、入札間際に買い手の最有力が一転した。外資勢から国内勢へと風向きが変わったのである。

 次ページでは、日本勢が優勢に転じた理由、そして日本勢で本命とされる企業名を明らかにする。