三菱地所が手掛ける日本で最も高い高層ビルの施工において、清水建設が優先交渉権を獲得。受注獲得競争を勝ち抜いているにもかかわらず、社内の反応は驚くほど暗い。特集『沈むゼネコン 踊る不動産』(全20回)の#1では、ゼネコンと不動産デベロッパーの間で不穏な空気が流れる大型再開発の舞台裏に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
「日本一高いビル」に王手をかけるも
社内の反応は驚くほど暗い
「日本一」という称号は、いつだってゼネコン技術者の挑戦意欲をかき立てる。目下、この称号を冠した案件といえば、三菱地所が東京・常盤橋で計画している「Torch Tower」だ。地上63階建てで高さ約390メートル。日本一高いビルとして2027年度に完成を見込む。
当然、大手ゼネコン各社はTorch Towerを巡り熾烈な受注獲得競争を繰り広げた。その結果、清水建設が施工の優先交渉権を獲得した。
これにより清水建設は、「日本一高い高層ビルを造ったゼネコン」という称号を得る“王手”をかけた。にもかかわらず、社内の反応は驚くほど暗い。まるでお通夜のように落胆する社員もいる。
なぜ、大手柄として歓迎ムードが起きないのか。
次ページでは、清水建設の社員がこの案件に落胆する理由を吐露。さらにゼネコンと不動産デベロッパーの間で不穏な空気が流れる大型再開発の舞台裏、双方の本音をつまびらかにする。