逆に「わたしはこんなに忙しいのに、どうしてあなたは助けてくれないの!?」と、怒りをぶつけてしまう。

 あるいは「あなたはヒマそうでいいわよねえ」と、嫌みな言い方をしてしまう。

 この3つともアサーティブな伝え方でないために、自分も相手も、不快な思いをしてしまいます。

アサーティブに人に頼むために、
「6つの権利」を知っておく

「人間には、一人ひとりに自分の思ったことを言える基本的人権がある」というのが、アサーティブの柱の1つです。

 イギリスの心理学者で文学者のアン・ディクソンが書いた『第四の生き方』(つげ書房新社)から、アサーティブな立場における「6つの権利」を紹介します。

「わたしたちの権利」
(1)『わたしには、賢くて能力のある対等な人間として、敬意を持ってあつかわれる権利がある』
(2)『わたしには、自分の感情を認め、それを表現する権利がある』
(3)『わたしには、自分の意見と価値観を表明する権利がある』
(4)『わたしには、間違う権利がある』
(5)『わたしには、人の悩みの種を自分の責任にしなくてもよい権利がある』
(6)『わたしには、周りの人からの評価に頼ることなく、人と接する権利がある』

 重要なポイントは、「自分を尊重し、意見を表明する権利を行使しながらも、相手も尊重すること」です。

 この基本的人権を、日本人はないがしろにしている人が多いと感じます。

相手を不快な気持ちにさせる
「非アサーティブ」な頼み方

 基本的人権を守れていないコミュニケーションを、「非アサーティブ・コミュニケーション」と呼びます。

 以下、「非アサーティブ」な伝え方の例を見てみましょう。