部下からパワハラや過重労働とみなされることを恐れ、横暴と思われないように表面上の言葉づかいばかりを気にしすぎるあまり、実は部下のヤル気を削いでしまう。そんな話が少なくない。皆さんの職場でも、部下たちはヤル気をなくし、活力の乏しい沈滞ムードに陥っていないだろうか?(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)
池井戸潤の原作によるテレビドラマはどれも人気だ。「下町ロケット」を見ても「陸王」を見ても、その舞台となる職場には活力があふれている。ところが現実の職場に目を向けると、あれほど気持ちがつながり一致団結するようなことはなかなかないだろうし、あそこまで活力があふれる職場も滅多にあるものではない。
とはいえ、あの類いの人気ドラマほどではないものの、従業員のヤル気がみなぎっている職場も実際にはある。その一方で、活力の乏しい沈滞ムードの職場もある。
その違いは、部下たちの言い分を聞くと上司のちょっとした言動にあることがよくわかる。なぜか部下のヤル気を削ぐような言い方をする上司が、意外にも多いようなのだ。
上司のちょっとした言葉が
職場の活力を大きく左右する
「これならあなたにも無理なくできると思うんですけど、やってもらえますか」
「そう難しい仕事ではないので、あなたにお願いします」
このような言い方で仕事を与えられて、果たしてあなたはヤル気が出るだろうか。
「仕事ができないとみなされている」
「まったく期待されていない」
そのように受け止めるのが普通だろう。