「家族でNISA」に
「2世代NISA」もお勧め

 NISAの相対的な長所は運用資産の流動性だ。必要な時に、必要な金額を、投資を部分解約して換金できる。ただし、拠出のルールに制限があるので、出し入れが完全に自由な「有利な運用ができるお財布」というわけにはいかない。

 ともかく、運用できるお金がある人は、できるだけ大きくNISAの枠を使って運用する方が有利だ。

 この点を考えると、例えばご夫婦なら配偶者のNISA枠も有効に使うべきだし、報道の通り未成年も使えるようになるなら、子どものNISA枠も含めて、「一家総出でNISA」という運用があっていい。

 ただし、この場合でも、それぞれの口座の投資商品にバラエティを持たせると全体の管理が難しくなる。

 家族で使えるNISA枠を総動員しつつ、必要があれば合議した上で、運用方針を周知して共通の運用を行うことをお勧めする。

 自分でもよく分かっていない親が、「子どもには、別の商品を持たせて、投資に興味を持たせよう」などと、身の丈を超えた投資教育家を目指すことのないようご注意申し上げておく。

「シンプルで合理的な運用」の下に、「家族全体の必要性に対応して投資を管理」し、家族全員が合理的な運用を理解するように努めるべきだ。合理的な運用を早く理解し実感することは、子どもの将来のためにもいいことだ。

 個人のタイプや属性によって、適する運用方法や運用商品が存在するわけではない。運用は誰でも「最も合理的な一つの方法」でいい。人によって違いがあるとすると、運用金額の総額とその中でリスク資産に投じる金額の大きさだけだ。

 利用できる総枠がどう決まるかにもよるが、多くの家庭で、一家のNISAをフル活用すると資産運用に関してはかなりのニーズを充足できるのではないだろうか。子どもの学費に備えるには学資保険よりもはるかにマシな運用手段だ。また、老後の年金の補完にも、奇数月分配型の投資信託などの非合理的で手数料が高い商品を利用する必要はない。

 付け加えると、同居の家族ほどお金のやりとりの融通は利かないが、NISAは高齢者でも使える。高齢の親とその子どもが、両者の資産運用を合体して考える「2世代運用」にも「新しいNISA」を「できるだけ大きく」活用したい。

 NISAの利用を通じて、親が子どもに合理的な運用を教えて、将来は子どもが親の運用を助けるような使い方ができれば素晴らしい。

 当面は、「新しいNISA」が良いものに決まることを大いに期待しよう。