マイナ保険証を使うと
医療費は12円高くなる!?

 当初は、具体的には以下のような加算の状況になっていた。

 これを見ると分かるように、22年4月の診療報酬改定は、マイナ保険証を使うと、従来の健康保険証を提示するよりも、医療費が高くなるように設定されていた。たとえば、その病気で初めて病院を受診した場合、従来の健康保険証を提示すると30円(3割負担で9円)なのに対して、マイナ保険証を利用すると70円(3割負担で21円)の加算が付いていた。

 こうした値付けは、一般的な消費者心理には逆行しており、マイナ保険証の普及の妨げになる可能性がある。

 そこで、「電子的保健医療情報活用加算」は廃止されることになり、22年10月から、代わりにつくられたのが、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算2」という加算だ。この診療報酬の改定によって、マイナ保険証に関する医療費は、次のように見直されることになった。

 このように、22年10月以降は、従来の健康保険証で受診するよりも、マイナ保険証で受診したほうが、1カ月の医療費は全体で20円(3割負担で6円)安くなる。薬局の負担も、マイナ保険証を利用したほうが、健康保険証を提示するよりも医療費は安くなる。

 ただし、2つの表を見ると分かる通り、健康保険証よりもマイナ保険証の利用が有利になるのは、マイナンバーカードを読み取れるカードリーダーなどを設置している医療機関や薬局だけだ。