コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は丸井グループ、J. フロント リテイリング、三越伊勢丹ホールディングス、エイチ・ツー・オー・リテイリングの「百貨店」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
不振が続いた百貨店に「希望の光」
「ある消費トレンド」で好調な企業も
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の百貨店業界4社。対象期間は2022年2~6月の直近四半期(J. フロント リテイリングは22年3~5月期、その他3社は22年4~6月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・丸井グループ
増収率:5.1%(四半期の売上収益511億円)
・J. フロント リテイリング(大丸松坂屋、パルコ)
増収率:10.5%(四半期の売上収益819億円)
・三越伊勢丹ホールディングス
増収率:14.7%(四半期の売上高1016億円)
・エイチ・ツー・オー・リテイリング(阪急、阪神)
増収率:30.7%(四半期の売上高1494億円)
※高島屋は会計方針の変更に伴い、前年同期比増減率が非開示のため、掲載を見送った。
百貨店業界では、4社全てが増収となった。新型コロナウイルス感染拡大によって大打撃を受けた各社の中には、四半期増収率が2~3期連続でプラスとなった企業も含まれ、復活の兆しが見え始めている。
また、4社の中で特に増収率が高かったエイチ・ツー・オー・リテイリングと三越伊勢丹ホールディングスでは、「ある消費トレンド」が増収に一役買った。
そのトレンドとは何か。次ページでは答えを明かすとともに、時系列データを踏まえて各社の状況を解説する。