個人情報は誰のものか?日本人の気質と親和性が高い「情報銀行」の可能性巨大IT企業が独占してきた個人情報の取り扱いに対し、様々な論争が起きている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

個人情報の取り扱い
「私の足跡」は私のもの

 ウェブ上での購買や閲覧の履歴など、個人情報の取り扱いが論争を生んでいる。個人情報は歴史的に、GAFAなど巨大IT企業が独占的に利用してきた。

 論争の1つは、個人情報の帰属だ。個人情報が帰属するのは、商品・サービスを提供する企業側なのか、それとも購買や閲覧などの行為を行う個人側なのか、という点だ。

 もう1つの論争は、産業の競争政策である。個人情報の帰属がどこにあるにせよ、特定企業による情報独占は公正な競争を阻害し、消費者厚生を長きにわたって減じてきた可能性がある。

 ウェブ上で獲得される膨大な個人情報に関して、当初はビッグデータの活用などプラス面が強調されていた。転機は2013年、スノーデン氏によるアメリカ国家安全保障局の内部情報の暴露だった。

 2018年にはGAFAの一角であるFacebook(当時)の個人情報漏洩も発覚した。欧米のメディアや識者の間で、個人情報の帰属について議論が一気に高まった。「私の足跡は私のもの」ではないか、という考え方である。