つまり、当初の予定から436万円(252万円+184万円)が失われるわけです。先ほど試算した、転居した場合の65歳時点の金融資産額(1217万円)から、この金額を差し引いた残りは781万円です。

 65歳以降の年間赤字額は29万円ですから、金融資産額は約27年後(Dさんが92歳)まで持ちます。平均寿命をわずかに上回っていますが、医療費などの追加支出には対応できない水準です。

 仕事を辞めた後に失業給付を受給したり、年を重ねていくごとに支出が減ったりすることを考慮すれば、金融資産は予定より長持ちする可能性はありますが、家計に全く余裕がない状況に変わりはありません。

 一連の試算を考慮すると、FPとしては、60歳よりも早い退職はお勧めできかねます。もしDさんが「今の仕事を辞めた後は、全く働かない」とお考えであれば、なおさら60歳までは頑張ることを検討してみてください。

 そして繰り返しになりますが、一日でも早く家賃を下げるために、UR賃貸住宅などへの申し込みを速やかに済ませてほしいと思います。