グローバル最適ローカル適応の
バランスをどのように取るか?

日置 ありがとうございます。次にお聞きしたいのは、「『グローバル最適』と『ローカル適応』のバランスをどのように取るか?」です。

 グローバル経営においては、両方を同時に達成するのが理想ですが、どちらかに重きを置けば、もう片方が犠牲になると、一般的には考えられています。多くの企業がこのバランスに苦慮しているわけです。

会場風景

 グローバル化の流れは(コロナ禍で停滞が見られたように)揺り戻しはありつつ、後退することはないでしょう。

 とりわけ、「人口減少国日本」を母国とする企業としては、市場も人材も「外」に求めるしかありません。しかし、グローバル化すればするほど、組織の構造はどうしても複雑になり、コストもかさみますし、経営のかじ取りは当然、難しくなります。

 では、経営の効率性と柔軟性を鑑みたとき、何をどこまでグローバル統合(※展開する複数国の間で共通性を持たせること)し、その一方で、どこにローカル適応(※ローカルや事業の独自性を持たせること)すべきなのでしょうか。

 これまで「阿吽(あうん)の呼吸」でやってきた日本企業が、多様性を取り込みながら、テクノロジーを活用した「阿吽の仕組み」をいかにしてつくるのか。おそらくそのあたりがポイントになるのではないかと思うのですが、ぜひ皆さんのお考えをお聞かせください。

横田 グローバル最適とローカル適応のバランスについては、ビジネスモデルによっても大きく異なると思います。

 例えば、多額の設備投資を必要とする化学産業などでは、グローバルで集約して生産効率を上げて早期の投資回収を図るということになるでしょう。一方で、消費財メーカーなどの場合は、ツールとしてのITなどをグローバルで統合すると同時に、マーケティングなどについてはローカル適応しなければ、現地の市場で勝てません。

 そのため、スケールメリットが取れるところはグローバルにして、消費者に直接かかわる部分はなるべくローカルに寄せて製品開発に活かす、このような微妙なバランスが求められるわけです。特に、これだけ情報が氾濫して、消費者トレンドが目まぐるしく変わる状況下では、ローカル適応の重要さが以前にも増していると感じています。