自己効力感とは、何らかの目標を達成するために必要な行動を取ることができるという自信のことである。

 子どもの場合、予習復習をきちんとしていればうまくいくとわかっていても、「今日は疲れてるから、また明日頑張ろう」「今日は○○ちゃんに誘われたから、明日からまた頑張ればいいや」「今日は見たいテレビが続くから、ちょっとさぼっちゃおう」というようなことがしょっちゅうあって、そのうちまったくやらなくなったりする。

 その結果、「僕は意志が弱いからダメなんだ」といった自己認知ができてしまうと、これではいけないと思いながらも、いつまでたっても改善されない。そこを立て直すには、「自分はやればできる」という自己効力感を身につけることが必要となる。

自己効力感はモチベーションを高め、
成功の鍵になる

 自己効力感がモチベーションを高めることは、多くの研究によって明らかになっている。たとえば、禁煙行動に対する自己効力感が高い人ほど禁煙に成功しているなど、健康習慣の形成や薬物などの依存からの脱却に関しても、自己効力感が成功の鍵を握ることが示されている。

「自分は禁煙ができる」という自己効力感があれば、困難を伴うものであっても禁煙行動を取ろうとするモチベーションが高まり、禁煙行動を忍耐強く続けていくことができるのだ。

 スポーツ競技の成績に関しても、過去の実績よりも自己効力感の方が、その後の成績の予測変数として強力であることが示されている。過去の実績のある人物が好成績を残すのは容易に想像できることだが、それ以上に「自分は速く走れるはず」「自分は遠くまで投げられるはず」といった自己効力感の方が成績に強く影響することがわかっている。自分はできるはずという自己効力感が練習に対するモチベーションを高め、それが成果につながるということだろう。

 このように自己効力感は、どんな領域の行動であるかにかかわらず、モチベーションを刺激し、パフォーマンスを向上させる力をもつ。