東京都知事選のポスター掲示板が、想定していない方法で利用される事案が相次いでいる。大きな批判が目に見えており、一見メリットがないと思われる行為が繰り返される要因は何なのか。経営学の視点で分析してみよう。(やさしいビジネススクール学長 中川功一)
荒れる選挙ポスター掲示板
なぜ批判必至な使い方をするのか
7月に行われる東京都知事選のポスター掲示板に、候補者と無関係な人物や動物などのポスターが多数貼られる「掲示板ジャック」が起こった。また、これとは別に、掲示板にわいせつな写真を貼ろうとした事案もあった(その後、自ら撤去)。東京都選挙管理委員会には多くの苦情が入り、対応に追われることとなった。
掲示板ジャックの件は、今回の選挙に複数の候補者を擁立した政治団体がポスター枠を寄付の形で売却をしての行為だったことも分かったが、党首は「公職選挙法には違反していない」という認識を示しており、物議を醸している。卑猥なポスターの件についても、これを行った候補者が「合法だと思っていた」と説明した。
続発する、選挙を目的外に利用する行為――それは確かに法には違反していない。だが、これらの行為はたとえ適法だったとしても社会を敵に回すだけであり、実行者には何らのメリットもないように見える。
にもかかわらず、どうして選挙を想定される目的以外の方法で利用する人がいるのだろうか。
その理由はシンプルである。