ハッカーとの闘い方を最も熟知しているのはIT(情報技術)企業だろう。そのIT企業が達した結論は実に印象的だ。トロイア戦争のときからそうであるように、セキュリティー上の最大の弱点は人間である、というものだ。そこでIT企業が一段と採用するようになっているのが、「誰も信用しない」という新たなアプローチだ。こうした「ゼロトラストアーキテクチャー」と呼ばれる原理は、企業の外部防衛がいかに堅固であろうとも、ハッカーは侵入可能だという前提に基づいている。したがって、企業は、ネットワーク内部のユーザーさえも深刻なダメージを与えないよう確実にする必要がある。配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズと、ビデオゲーム会社テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア傘下のロックスター・ゲームスは先週、業務に支障をきたす大規模なハッキングを受けたことをそれぞれ明らかにした。両社以外にも、さまざまな企業が今年、被害に見舞われている。その中には、ID認証サービス大手オクタや半導体大手エヌビディアなど、地球上で最もテクノロジーにたけた企業の一部も含まれている。
「誰も信用しない」 IT大手のハッキング対策
不正侵入を前提に被害を最小化する「ゼロトラスト」アプローチ
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