「嫌だと思うのは良くない。よし、前向きに考えよう!」というのは一見ポジティブなようですが、実は自分の気持ちを否定しています。嫌だと思う自分を「ダメだ!」と否定して、別の考え方をするべきだと指摘しているようなものです。
このような無意識の自己否定が積み重なって、ポジティブになるどころかネガティブな感情がますますふくらみ、生きづらさを抱える人が増えています。
自分の意見を「ダメだ!」と否定されて、ポジティブな気持ちになりますか?
それよりも自分の意見を認めてもらったほうが、ポジティブな気持ちになりませんか?
「嫌だ」というネガティブな気持ちが出た時には、いったん受け入れてみてください。
無理やりポジティブに思い込もうとするより、「なんで嫌なの?」「あー、こういう理由で嫌なのか」「そりゃ嫌だよね」と自問自答を繰り返し、自分の意見を受け入れるほうがネガティブな感情は消えていきます。
自分の意見を認めることで、ネガティブな感情は、ポジティブな感情に変化していきます。
「ポジティブにならなくていい」「ポジティブは不要だ」と言いたいのではありません。
ポジティブになるためにネガティブを抑え込みすぎないほうがいい、ということをお伝えしたいのす。
とはいえポジティブな言葉が、苦手な人もいます。それはそれでいいのですよ。
「こういうポジティブな言葉は苦手」と知っておけば、わざわざ見なくてすみますから。苦手なポジティブ言葉を見て落ち込むより、見ないようにするほうが賢いです。
どんなにいいことだとしても、それが合うかどうかは人それぞれ。
落ち込んでいる時や疲れている時には「やらなくていいこと」があるし、人によっては「やらないほうがいいこと」もあります。
ポジティブな言葉を見て無理やり元気になろうとするのは、風邪で熱が出て動けないような状態の時に「こんなんじゃダメだ、体力をつけなきゃ……」とジムに行ってトレーニングするようなもの。辛くて苦しいわりに、得るものは少ないです。
SNSで情報が一方的に流れてくる時代だからこそ、「見たい」「見たくない」という自分の気持ちに正直に、情報はどんどん選んでみてくださいね。