IRジャパンはなぜ、発生が予測できない巨額ディールを通期見通しに盛り込む無謀な行為に及んだのか。それは同社がこれまで企業と株主の紛争で荒稼ぎできた成功体験があるからに他ならない。特集『インサイダー IRジャパンの凋落』(全7回)の#2は、ダイヤモンド編集部の独自取材で、IRジャパンに巨額フィーを支払った企業名を明らかにする。アクティビストの圧力を受けるセブン&アイ・ホールディングスやリコーなどが、IRジャパンに「企業防衛」を依頼していた。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
ツルハ、西松建設、セブン&アイ、SBI…
IRジャパンに駆け込んだ大口顧客リスト初公開
ツルハから20億円、ニトリから8億円、天馬創業家から4億円――。アイ・アールジャパン(以下IRジャパン)は2022年3月期、発生が予測できない巨額ディールを無謀にも盛り込んだ業績予想を策定した。当事者間の合意がなければ成就しない自社株買いやM&Aが、アドバイザーにすぎないIRジャパンの思い通りに起きると過信した背景には、企業と株主のもめ事で荒稼ぎしてきた“成功体験”がある。
IRジャパンは、アクティビストファンドの介入があったり、大株主との関係がギクシャクし始めたりした上場企業から、多額のフィーを得ている。ダイヤモンド編集部の取材で、昨年にIRジャパンが5000万円以上のフィーを得た案件と金額が明らかになった。
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