「ドル箱」といわれたセブン銀行の高い成長性に黄色信号がともっている。もともとキャッシュレス化の浸透などによるATM座礁資産化の懸念は根強く、水面下では、ある銀行との統合策が模索されたくらいだ。足元では金利上昇局面に差し掛かったことで調達コストの増加懸念まで発生。“セブン解体”の中、銀行業界ではさらなる再編の臆測が飛び交う。特集『セブン解体』(全6回)の#4では、それでも強気をにじませるセブン銀行の成長戦略を読み解く。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
ATM手数料収入で急成長のセブン銀行
一転して座礁資産化の懸念が浮上
「セブン銀行は他行との再編、ともすると、グループ外への売却すらあり得るんじゃないか」(銀行幹部)――。
百貨店子会社そごう・西武の売却に動くなど、セブン&アイ・ホールディングスが事業ポートフォリオの改革にようやく乗り出した。“セブン解体”が模索される中、金融関係者の注目を一身に浴びるのがセブン銀行だ。
一昔前なら、セブン銀行が他行と再編する、場合によっては他グループに売却される可能性など、うわさにすら上らなかった。
セブン銀行はセブン&アイの「ドル箱」といえたからだ。ATM(現金自動預払機)の設置・運用による手数料収入を収益の柱にする独自路線を開拓し、開業3年目で単年度黒字を達成。5年目に累積損失を一掃し、以降、破竹の勢いで収益を伸ばしてきた。
しかし、実はセブン銀行の高い成長性には黄色信号がともり始めている。もともとキャッシュレス化の浸透などによるATM座礁資産化の懸念は根強く、水面下では、ある銀行との統合策が模索されたくらいだ。足元では金利上昇局面に差し掛かったことで調達コストの増加懸念まで発生。銀行業界ではさらなる再編の臆測も飛び交う。
次ページでは、セブン銀行が置かれた状況をあらためて整理するとともに、再編相手としてささやかれる銀行名や、難局に置かれていてもなお強気をにじませるセブン銀行の成長戦略に迫る。