4月に国税側が勝利した「タワマン節税裁判」。高額不動産購入による過度な相続税対策に警鐘を鳴らす格好となったが、この事例は「あくまで例外」とみる税理士も多い。実際のところ、タワマン節税はどこまでならOKなのか。特集『円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術』(全16回)の#4では、レガシィ税理士法人が作成したメディア初公開となる「“タワマン節税”判定表」を基に、国税に負けない分岐点を具体的に解説していこう。掲載したチェックリストに記入すれば、あなたのマンションも即座に判定可能だ。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
「タワマン節税はもうダメ」じゃない!
国税に負けない判定表を初公開
今年4月、注目を集めていたいわゆる「タワマン節税裁判」の判決が最高裁判所で下った。結果は、相続人である原告側の上告が棄却され敗訴。国税庁の主張が全面に認められた格好となった。
相続人と国税庁が壮絶なバトルを繰り広げた背景には、相続前に購入した高額賃貸マンションの評価額をめぐる対立があった。
原告である相続人は路線価などを基に相続した2棟のマンションを約3億3000万円と評価し、購入時の借り入れと相殺して相続税は0円と申告していた。ある意味では、ルール通りといえる。
ところが、国税側はこれを許さなかった。通常、相続財産の評価額は「財産評価基本通達」の定めにより、原告がしたように路線価などを基に算出する。だが、その評価額が実勢価格と懸け離れるなど著しく不適当な場合、国税庁には路線価によらない算定が可能という例外が存在する。通称「総則6項」と呼ばれる規定だ。
本件で国税側はこの例外規定という “伝家の宝刀”を抜いたのだ。結果、不動産鑑定に基づき約12億7000万円と評価、約3億円の追徴課税となった。
国税の強い姿勢には理由があった。相続税額が0円になるなど節税の意図が強く見られたからだ。実際、「この事例の節税は明らかにやり過ぎだ」と、国税側の判断に理解を示す税理士も多い。
だが、不動産と税理士の業界、なにより富裕層に少なからぬ動揺が走った。というのも、今回の事例が“過度”であったとしても、「どのようなケースだと国税側に評価額が否認されるのか」という基準が明確に示されたわけではないからだ。
その結果、いまや多くの不動産を抱える富裕層や高齢者が「自分の物件は果たして大丈夫なのか」と頭を悩ませている。
実際のところ、タワマン節税がNGとなる線引きはどこにあるのだろうか。
ここに相続に強い大手税理士法人のレガシィが作成した“マル秘資料”がある。タワマンなど不動産の路線価評価が否認される危険性を、100点満点の評点から確率で判定することができるお手軽“チェックリスト”だ。
レガシィのセミナーなどで限定的に配布されているこの資料を、今回メディアとして初公開する。
10項目にわたるチェックリストに記入するだけで、あなたのマンションも即座に「危険度」の判定が可能だ。“国税側に負けない”分岐点はどこにあるのか、重視される要素とは何か。そのポイントを解説していこう。