仮想通貨相場の崩壊で、仮想通貨による節税はどうなった?そして後継者難に悩む経営者激増で、企業承継時の節税手段にも変化が。さらに円安と各国の国際租税回避つぶしが加速する中、シンガポールなど海外を使った節税策はどうなっているのか。いまだに有効な抜け道はあるのか。特集『円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術』(全16回)の#7では、富裕層の節税に詳しい税理士・コンサルによる匿名座談会の第2弾をお届けしよう。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
皆元頼夫 税理士
平良清志 資産家向けコンサル
北城保時 資産家向けコンサル
江間義人 税理士
畠山茂 税理士
「海外富裕層が都内の不動産を買うケース、増えてます」
――かつて節税手段として人気があった仮想通貨は今どうなっているでしょうか。
北城保時 仮想通貨関連のお客さんもいますが、今相場がひどくて、去年のピーク時に仮想通貨資産が3億~5億円あったのが1億円前後になった。節税やろうとして会計顧問付けたのに、爆死、結局何もできなかった、って感じらしいです。そして税理士は手間ばっかりかかって限界って言ってます。
江間義人(江間) 各国で仮想通貨が数年前からあれだけ安定的に値上がりを続けたのは、みんなが各国の税務当局から逃げ続けるために使ったから、という面が大きいとは思うんですよね。ただ、実際に顧客に勧められるかというと価格変動性が高いし推せないなと。
平良清志(平良) 税金のことを考えずに仮想通貨を売却したり、別の仮想通貨に乗り換えたりして数億円もうけた投資家から、数年後に税務調査で申告漏れを指摘され、そのタイミングで何とかならないかという相談が数件ありました。もう後の祭りで何もできないのですが。その際にはグループで芋づる式に申告漏れを指摘されているようでした。ということは、国税庁は少なからず仮想通貨で誰が数億ロットでもうけたのか、あれこれ情報収集しているんでしょうね。
――海外はどうでしょうか。円安基調になって何か変化はありますか。
畠山茂(畠山) 海外に住んでるお客さまや外国人で日本に住んでて海外資産を持つ資産家の人が、都内の不動産を買うっていうご相談が最近は多いです。円安の影響もあって日本の不動産が相対的に安くなってますから、国際的にお金の逃げ場になっている面はあるでしょうね。シンガポールや香港の不動産はなかなか手を出しにくい価格になってるらしくて。
香港は政治情勢悪化の影響も少なからずあり、「一時避難的な形で日本に住みたいと思っているけど、日本は税金が厳しいと聞いたのでどうすればいいか」と事前にご相談いただくことがあります。相続税贈与税は日本に来るとかかるけど、海外にいる限りはかからないのでそのメリットを生かしましょう、みたいなアドバイスをします。
江間 相続税を食らっちゃうときついですよね。
畠山 海外に住んでる外国人の方は日本に住んでいるわけではなく相続税はかからないので、日本に来る前にスキーム組むとか事前に対策を打ったりしてますね。ただ、奥さんが日本人というケースが少なくないので、結局相続税の納税義務者としてはいろいろ制限がかかることが多く、そこの課題はありますね。
富裕層の節税・資産逃避の主戦場だったタックスヘイブンの状況は?特にシンガポールからの一時帰国や移住の要件にある動きが?そして増加する事業承継による節税の有力新手法とは?経済産業省が激推しする事業承継税制を税理士は勧めないのはなぜ?さらに実際に担当した元当事者が明かす銀行提案の某事業承継節税手法のわなって何!?具体的で盛りだくさんの解説は次ページに!