日本の労働力人口が低下し、国際的な競争力も下がっている中では、働く人それぞれが生産性を高めていくことが重要だ。個人の視点で見ても、生産性を上げて労働時間を短縮できれば、ワークライフバランスを整えることができる。

 生産性を高めるためには、独自性のあるものを商品やサービスに付け加える「付加価値」を与える視点も必要となる。新規事業だけでなく、事務的な作業を工夫して効率化することでも、仕事に新たな価値をもたらすことができる。

◇役職・階級を理解する

 日本の企業にはさまざまな役職があり、肩書によって上下関係がはっきりと分かれていることが多い。この序列は、上層部から下に向かっての指示系統をそのまま表しており、仕事上でもこの上下関係を理解する必要がある。これを無視することは、指揮系統を乱すことにつながるからだ。

 かつては終身雇用で年功序列が当たり前だったが、現在では年齢に関係なく能力重視で出世することも珍しくない。どの階級においても、実際より1つ上の役職のつもりで仕事をしてみると、自分とは違う視点で物事をとらえられるようになる。「一つ上の役職の人だったら、部下である自分にどう言うかな」と考えてみると、問題点や足りないことを発見しやすくなり、問題解決を少しラクにすることができる。

◇上手な叱り方・叱られ方

 叱られるのも叱るのもできればやりたくないものだ。ハラスメントが問題視されている昨今、特に叱る側は言い方やシチュエーションを十分に考慮しなければ大きな問題に発展することもある。しかし、叱られることは本人に新たな気づきをもたらすチャンスであり、叱る側の成長の機会にもなりうる。

 叱るときは「どうして」という単語を使ってしまいがちだが、ここに「どうしたら」という問いかけを加えると、改善の方法を考えるきっかけになる。叱るときのポイントは、(1)人格を否定しない、(2)他人と比べない、(3)長々叱らない、(4)人前で叱らない、の4点だ。叱りっぱなしにせずに、その後の行動を確認し、できていれば褒めるなどのフォローをするとよい。

 叱られたときは、「責められている」ととらえるのではなく、「課題を提示してもらえた」と考え、成長のチャンスとして改善に取り組もう。