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廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

今までの教育方法は、ホモ・モビリアンスになりつつある我々の子どもたちにふさわしいものか――佐賀県で進めている電子黒板導入で考えたこと

廉 宗淳 [イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]
【第14回(最終回)】 2013年1月29日
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 一方で、液晶モニタータイプはプロジェクタータイプに比べて価格が高いという認識があったため、より安価と思われるプロジェクタータイプでよいのではないかという意見もありました。

 しかしながら、調査してみたところ、プロジェクタータイプの場合、購入費用は比較的低いものの、投影に使用する照明器具の寿命があまり長くなく、ランプも高価なため、トータルとしては決して安くないことが分かりました。加えて、黒板が設置されている壁にレールを装着し可動式にして使うケースが多く、そのレール工事に十数万円かかることも判明しました。その結果、液晶タイプと比べて、それほど大きな価格差はないのではないかということが分かったのです。

 事実、佐賀県が2011年度に購入したプロジェクタータイプの電子黒板の調達費用は、電子黒板本体の価格、運搬費用、壁への設置工事費用、5年間の維持・保守費用などを含めると、1台当たり100万円を超えていました。

 とはいえ、どちらにも一長一短があるため、購入後少なくとも5年以上は使うことや本来の電子黒板の導入目的などあらゆる面から、引き続き検討を重ねました。そしてようやく、現時点では、液晶モニタータイプの方が好ましいという結論に至ったのです。

 また、心配していた価格に関しても、RFIを実施してみたところ、液晶タイプとプロジェクタータイプではさほど変わらないことが分かりました。実際、当初1台140万円は下らないだろうと思っていたのですが、競争入札の結果、1台100万円程度で導入することができ、一同ほっと胸をなでおろしたのでした。

韓国の小学校では、壁の中央に電子黒板が組み込まれており、黒板がスライド式で動くため、スペースが有効活用できる

 ちなみに、大きさは70インチにしました。それ以上大画面だと、前列に座っている生徒に威圧感を与えてしまうという専門家の判断もあり、この大きさが最適と考えたのです。

 また、右の写真のように、韓国では電子黒板は従来の黒板の位置の壁に埋め込まれていますが、日本では当分、従来の黒板と併用することになるでしょう。

電子黒板は単なる教具の電子化ではなく、
授業を抜本的に変える手段である

 ところで、電子黒板は、あらかじめ用意したデジタル教材を黒板に投影した上に、自由に文字や図形を書き込んだり消したりできるというメリットもあるわけですが、今回、プロジェクタータイプの電子黒板を提案してきた日本のあるメーカーが、製品の紹介の際に、「従来の黒板に負けない書き心地」や「従来の黒板と同じような使用感」をセールストークとして強調してきました。

 メーカーの流暢なセールストークを聞いた審査委員の方々は、瞬間的に、「そうか!電子黒板なのに、普通の黒板に書くように滑らかに書けるというのは実に素晴らしい」と納得したと同時に強く安心したのです。

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廉 宗淳
[イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長]

1962年生まれ。大韓民国空軍除隊後、国立警察病院、ソウル市役所に 勤務。日本でのプログラマー経験を経て、韓国で株式会社ノーエル情報テック設立。2000年、日本でイーコーポレーションドットジェーピー設立。青森市の 情報政策調整監、佐賀県情報企画監、総務省の電子政府推進委員や政府情報システム改革検討会構成員を務めている。

廉宗淳 韓国はなぜ電子政府世界一なのか

お隣の韓国は、国連の電子政府ランキングでここ数年、1位が指定席。かたや、日本は順位を下げ続け2012年は18位。韓国の電子政府は何がすごいのか、日本が学ぶべきポイントはどこか。90年代前半に日本でITを学び、現在は、行政、医療、教育などの分野でITコンサルティング事業を展開する廉宗淳氏が、日本の公共サービス情報化の課題を指摘する。

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