相続は事前の対策が必須!
同性パートナーの財産を相続する5つの方法

 同性カップルがお互いの財産を相続するためには、事前に話し合って相続対策をしておくことが必須となる。同性どうしのパートナー関係においても有効性が高い5つの方法を紹介したい。

 ただし、同性婚が認められていない現在の日本では、どの方法も「これさえしておけば安心!」という決定打にはなり得ないことを知っておく必要がある。自分たちが置かれている状況や、それぞれの方法のメリットとデメリットを鑑みて、ケース・バイ・ケースで対策を立てることが大切だ。

【相続対策その1:遺言書を作成する】

 遺言書を作成しておくことは、同性パートナーの相続においても有効となる。一般的な遺言の方式として自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、これらの方式を普通方式遺言という。3種類のうち、自分自身の自筆で記す自筆証書遺言や、遺言内容を一切秘密にして作成する秘密証書遺言は、決められた要件を満たしていないなどの理由で無効になったり、遺言の有効性を問われたりすることもある。無用なトラブルを招かないよう、できれば公正証書遺言を作成しておくことが望ましい。

 公正証書遺言は、証人2人の立ち会いのもと公証人に作成してもらう。公証人に病院や自宅に来てもらうこともできるので、病気などで身体が不自由な状態や文字が書けない状態でも作成が可能だ。公証人が関与するため無効になりにくく、原本は公証役場で保管されるため紛失・隠ぺい・改ざんの心配もない。

 公正証書遺言の作成にはある程度の手間と財産の価額に応じた手数料が必要だが、有効性の高い遺言書を作成しておけば遺留分以外のすべての財産を同性パートナーに残すことも可能だ。遺留分というのは遺言で奪うことができない遺産の留保分のことをいう。被相続人の配偶者、子ども、直系尊属(父母・祖父母)が遺留分を有しており、兄弟姉妹は遺留分を有していない。

 ただし、同性パートナーが遺産を相続するときには、法律上の配偶者に比べて税金が多くかかりやすいので注意が必要だ。「3000万円+法定相続人数×600万円」の基礎控除は適用されるが、同性パートナーが相続人に名を連ねても法定相続人ではないため基礎控除額は増えない。配偶者特別控除が使えない上、故人の配偶者でも1親等でもないため相続税を2割増しで払うことになる。

 特に同性パートナーが不利益を被るのが、不動産を相続する場合だろう。土地の評価を80%下げて土地にかかる相続税を大幅に減額できる「小規模宅地等の特例」が使えないのである。さらに、登記の名義変更をする際の登録免許税も法定相続人が相続する際の5倍もかかってしまうなど、相続税以外の税金も重くのしかかってくるのだ。