サウナの入り方に戸惑う初心者から、サウナ慣れしてととのいにくくなってきた熟練サウナーまで! それぞれに合わせた「究極にととのう」ための入り方を、自らもサウナーの医師が解説した書籍「医者が教える 究極にととのう サウナ大全」が発売に! 日常のパフォーマンスをあげ、美と健康をレベルアップする「最高のサウナの入り方」を、世界各国のエビデンスを元に教えます。この連載では本書より、一部を抜粋してご紹介します。
「サウナ室をいつ出ればいいのか」問題。正解は?
いつサウナ室を出ればいいのでしょうか。汗をたっぷりかいたら? 大体10分くらいと決めておく? 私の答えはいずれもNOです。
サウナ室を安全かつ快適に出るためには時計や温度計を見ないほうがよいのです。サウナ室を出るときに使える医学的な指標を紹介します。
「汗の量」を目安にするのはNG
「汗をたっぷりかいた=体が温まった」。こう考える人は多いと思います。でも実は、その汗は「結露」の可能性があります。
例えば、冷たい水が入ったコップの周りに水滴がつくことがありますよね。あれは、コップ周辺の空気が冷やされて空気が抱え込める水蒸気の量が減ったことで、空気中に含まれていた水が水滴として付着したものです。
それと同じように、サウナ室の温度に比べて体温は非常に低いため、体の表面に結露が生じることがあります。ある研究では、サウナ内の汗は、3~5割が結露であると報告されています。だから、汗の量(汗と思われる量)を目安にしてはいけません。
「時間」を目安にするのもNG
多くのサウナ室には時計があります。12分計や砂時計(5分が多いでしょうか)が設置されているので、時間を目安に入る人も多いでしょう。
例えば、ある人は「5分だとちょっと短いし、10分だと長いから、自分はいつも7分くらい」と決めているとします。また、ある人は、「たっぷり汗をかきたいから必ず10分は入る」と決めているとしましょう。
下記は、それぞれの心拍数を表したグラフです。
7分の場合(左のグラフ)は、きれいな山が3つ並んでいますね。対して10分の場合(右のグラフ)は、山の高さが一定ではありません。心拍数も実は140回を超えていて、負荷がかかりすぎています。
「じゃあ、7分がいいの?」と思ったかもしれませんが、これはあくまでも、このサウナ室のコンディションと、この日の体調の結果、7分だったということ。
コンディションも体調も、時と場合によって異なるので、時間を目安にするのは、むしろ非常に難しいと言えるでしょう。
「体感」を指標にするのもNG
「だいぶしんどくなってきた」と体感を指標にするのもNGです。人間が感覚を得ているセンサーは手と顔が最も敏感です。そのため手や顔が「熱い」と感じても、まだ全身は温まっていないことがあります。
体の状態を客観的に把握するなら「心拍数」がベスト
サウナ室にいると心拍数はどんどん上がっていきます。熱を放つために血流は皮膚表面に集まるので、体の中心部である心臓に戻ってくる血液量が減ります。すると、心臓は一気に充填してドーンと送り出すのではなく、こまめにポンピングすることになるからです。
心臓が速く動きすぎると体に負担がかかりますが、心拍数を目安にすれば、それを避けることができます。
下のグラフは、心拍数の上限を120回、130回に設定して3セット行ったときのものです。上限を決めているので、当然ながら上限は固定され、上がり方も一定しています。
心拍数を目安にすることは、体に余計な負担をかけず、初めての施設でもOKなユニバーサルな方法だと言えるでしょう。
出る目安は「軽い運動をしたとき」の心拍数
脈拍数=心拍数なので、脈を測ることで交感神経の状態を推し量ることができます。サウナ室を出る目安は「軽い運動をしたときの心拍数」と同じになったら、です。あらかじめ、会話をしながら行える程度の軽い運動をしたとき、自分の脈拍がどのくらいになるのかを測って覚えておきましょう。
*本記事は、「医者が教える 究極にととのうサウナ大全」から抜粋・編集したものです。