自衛隊員は防衛出動下命時に手当が付けられる。しかし、その支給額は今も決められていない。命の危険を伴う任務だ。家族のいる隊員もいるだろう。自身にもしものことがあっても家族の生活は大丈夫という保障は誰だって欲しいはずだ。これまで自衛隊に必要な予算を削り続けた国が十分な手当を出すのだろうか。危険で覚悟の必要な自衛隊の手当の内容に首をかしげるしかない。

 10月28日付朝日新聞によれば、財政制度等審議会で財務省は自衛隊について「人員増ありき」からの見直しを求め、一部では削減も視野に効率的な態勢にするように防衛省に検討を促したという。

 令和4年版防衛白書の資料によると、自衛隊は平成24年度から令和3年度までの10年間、毎年2万人程度の定員割れだった。

自衛官の定数と現員数の推移令和4年版防衛白書の資料より 拡大画像表示

 すでに必要な装備品を動かす定員がいないために母港やドックから出航しない艦艇、格納庫から出られない航空機、使うことない装備品となって自衛隊の能力を大きく損なっている。この上、さらに自衛隊の能力を財務省は削ろうとしている。定員割れを防ぐための対応策を取るのではなく、さらに人員減を貫くのであれば、有事に大きな犠牲も覚悟しなければならない。

(国防ジャーナリスト/自衛官守る会代表 小笠原理恵)