マストドン移行を宣言する人たち

 マストドンとは、Twitterと似た短文投稿型のSNSだ。2016年にサービスが開始された際には新しもの好きの著名人らが話題にしたこともあり、Twitterに代わるSNSになるのではないかという予測があった。

 これまで国内ユーザーがTwitterを超えたことはないが、10月末のマスク氏によるTwitter買収完了報道以降はユーザー数が増え続けている。11月7日には、月間アクティブユーザー数が初めて100万人を突破。

 日本語ユーザーの中でも「そろそろマストドンに移行します」と宣言し、マストドンのアカウントをフォロワーに告げる姿がチラホラと見られる。使い始めた人からは「(Twitterに比べて)平和」「すごく良い」と言った感想も見られる。

 Twitterの文字数制限が140文字なのに比べ、マストドンは500文字なのも、丁寧な説明ができて良いと好意的に受け止めている人もいるようだ。

優しいコミュニケーションを求め、「Tters」を推す人たち

 そもそもマスク氏の買収以前から、誹謗中傷やいさかいの多いTwitterに「疲れた」と感想を漏らす人は少なくなかった。

 11月16日にtogetterにまとめられた『「Twitterに疲れた人が集まる匿名SNS「Tters」があるらしい「初期のTwitterみたい」「平和で癒される」』では、Ttersというサービスが「Twitterの避難先としてもよいんじゃないでしょうか?」と紹介されている。

 Ttersは匿名SNSで、「匿名」と聞くとTwitterと同じじゃないかと思う人もいるかもしれないが、Ttersの場合はさらにメールアドレスなどでの会員登録が不要だ。

 初期設定で自分のアカウント名やユーザー名をつけたりアイコン画像を指定する必要がなく、ユーザーが「何者なのか」がわからない。ビジネスや広告目的としたり、個の表現を模索したい人には不向きだろうが、「タイムラインで人の自己顕示欲を見るのに飽き飽きした」といったタイプの人にはさざ波のような優しい世界に映るだろう。

 Twitterと同じようにリプライや「いいね」機能、ブックマークはあるが、リツイートや引用リツイートはないようで、これも「いかにバズるか」が目的化してしまった現在のTwitterとは一線を画すように見える。

 筆者が確認した時点で人気1位に表示されていた投稿は「いいね」が59。「初めて心療内科行って来たんだけど…(略)」という投稿に、「おだいじに」「お疲れさまでした」というリプライがついていた。ユーザー同士は知り合いではないはずだ。殺伐としたTwitterでは長らく見かけない光景と感じたのは筆者だけではないようで、togetterのまとめでは「平和だ」「大好き」といった感想が見られた。

 とはいえ、「優しさ」は「刺激が少ない」とも言え、Twitterの刺激に慣れてしまった人の中には、いくらとげとげしくてもTwitterから離れられないということもあるだろう。