石川県が出願した登録商標が韓国で認められても、すでにこれだけ市場に出回っていればルビーロマンの苗木販売を完全になくすことは難しいかもしれない。さらに最近、2013年に山梨県で志村葡萄研究所を営む志村富男氏が開発したマイハートまで韓国に流出したことが判明した。おそらく他にも、日本が開発した高級ブドウの苗が韓国国内に流出しているのではないか。ブドウだけでなく、他の果物や野菜も同じだろう。

高級ブドウの流出について、韓国人の反応は?

 こうしたルビーロマンやマイハート流出に関する韓国人の反応を見ていると、日本が開発したものを許可なく韓国内に拡散させたことを悪いと考える人がそもそも少ない。

「韓国から盗んだものを先に返して」「ルビーロマンという名前じゃなくて他の名前で売ればいい」「独島(竹島)は自分たちの領土だとしつこく言い張っているやつらがよく言うよ」「自分たちがまず正してから人に要求しろ」といった具合だ。

 もちろん「当然ロイヤルティーを払わないといけないんじゃない? 盗みはやめよう。これでは中国と一緒だ」「シャインマスカットも日本から盗んできたけど、マニュアルを守らずに育てて出荷したから、もう日本のようなシャインマスカットの味がしない」「韓国人が14億人集まると中国だという気がする」「盗みはしないで。私たちも品種改良を!」といった意見も一部にはある。

韓国メディアの論調が変わってきた

 筆者が注目しているのは、ここにきて、韓国メディアの報道姿勢が少し変わってきたことだ。シャインマスカットやルビーロマンのときは「韓国で品種登録しなかった日本が悪い」と、韓国側を正当化して日本を批判するメディアが多かった。

 しかし今回、マイハートの流出に関しては「消費者の大半は『日本のブドウを許可なしに密かに持ち込むのは根絶されなければならない』という反応を示した」などと論じ、「日本から許可なしに持ち込まれた品種だということを知ると、食べるのが嫌になる」「品種コピーで有名な中国をののしりながら、韓国も同じ行動をするのは国際的な恥だ」といった読者の意見を掲載するなどして、一方的に日本が悪いと報道するメディアが減った。

 さらに韓国メディアは「流通・苗木業者などが海外品種をむやみに『高級果物』としてマーケティングし、販売する形態が根絶されてこそ国産品種栽培が拡大するだろう」という、農村振興庁に勤める研究員の意見を紹介。海外から許可なしに苗木を持ち込んで韓国国内に拡散させることを止めるべきだ、国産品種の栽培に力を入れるべきだとも説いていた。