社説 引き締めに本腰、世界の中銀Photo:Bloomberg/gettyimages

 世界各地の中央銀行がインフレ抑制に本気で取り組んでいることを、金融市場がようやく理解したというのが、今週の出来事だったのだろうか。そうかもしれない。欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁が15日に示したタカ派的姿勢を目にした後では、特にそう思える。

 ECBは、政策金利を2.0%へと0.5ポイント引き上げた。同中銀はまた、2015年以降2回にわたって実施してきた量的緩和プログラムで膨れ上がったバランスシート上の資産について、削減を開始する計画を発表した。ECBは来年3月以降毎月、資産購入プログラム(APP)の枠組みの中で、償還期限を迎える債券の元本150億ユーロ(約2兆2000億円)に相当する額の再投資をやめることで、保有資産が減少するのを容認する。

 この量的引き締めの計画は大きな変化だ。ラガルド氏はECBの10月の会合まで、APPのポートフォリオ縮小のスケジュールを提示するのを拒否していた。利上げ幅は、ECBが最近の会合で実施した0.75ポイントを下回ったものの、ラガルド氏はポール・ボルカー氏流の手法を精一杯印象付けた。ラガルド氏は記者会見で、「これは(これまでの引き締め策の)転換ではない。米連邦準備制度理事会(FRB)と比較すると、われわれがカバーすべき範囲はより広く、進むべき道のりも長い」と述べた。