介入が効かなくなってきている

 ちなみに為替介入は「介入するぞ、するぞ」という姿勢を示して、マーケット参加者を怖がらせている時が華だと言えます。実際に使うと、効果がほとんどないことに気づかれてしまう。まさに、お化けのような存在です。

 それを象徴していたのが、2022年9月から10月にかけての日本政府による為替介入でしょう。

 9月22日に政府・日銀は実に24年ぶりの「ドル売り・円買い介入」を行いました。それによってドル円相場は一時、145円台後半から140円台へと5円強円高になりました。

 しかし、翌営業日である4日後には144円台に、約10日後の10月3日には再び145円台に戻ってしまいました。

 さらに10月20日、ついに1ドル150円台を突破し、翌21日には151円まで到達したのを受けて、日本政府および日銀はさらなる大規模介入に踏み切りました。

 その日、朝8時半に149円70銭くらいを付けていたドル円は、介入で145円46銭まで下落。

 しかし、その日の夕方には149円40銭に戻ってしまいました。つまり、介入の効果は半日も持たなかったということです。

 9月の為替介入額は2.8兆円で、これは1998年4月の2.6兆円を超えて過去最高額となりました。そして10月の介入額はそれすら超えて、過去最高額の6.3兆円を更新しました。それにもかかわらず、たった1日すら効果が持続しなかったということです。貴重なドルを浪費してこの結果なのですから、とんでもない話です。

 外貨準備はハイパーインフレという「Xデー」が来て、円が紙くず化した後、原油、海外農産物、高額医薬品を購入して国民の命を守る貴重な財産です。効果のない介入で、無駄遣いする罪は大きいと思います。