円安はファンダメンタルズを反映
介入はむしろ投機的取引を助長か
日本銀行は9月22日、予想通り金融政策を維持したが、特別コロナオペを今月末で終了せず6カ月間延長した。さらに、黒田東彦総裁は記者会見で、フォワードガイダンスや利上げは当面ないとし、「当面」とは数カ月ではなく、2~3年と考えた方がいいと発言。今月は主要中銀が軒並み大幅利上げを行った後だったこともあり、日銀のハト派的スタンスが目立ち、円安が進行した。
その結果、財務省は24年ぶりとなる円買い介入を実施(実行は財務省から依頼を受けた日銀)。ドル/円相場は145円台後半から140円台前半まで5円以上下落した。
ただし、そもそも日本政府はこれまでにも、市場の動きを投機筋のせいにしてコントロールを試み、本当の問題から目を背けさせようとする傾向が強く見られてきた。
今回の為替介入も「投機的な動きへの対抗」としているが、ここまでの円安は実際のところ、基本的にファンダメンタルズに沿った実需の円売りに基づく部分が大きい。円買い介入を行ったことで、今後はむしろ投機的な取引が助長されるのではないか。そしてドル/円相場はやがて、1990年以来となる150円台の円安水準を目指すとみている。以降、そのように考える理由を詳述していく。