介入でどうにかなると思っているのは素人のみ

 ファンダメンタルズ(経済の基礎的な条件)に介入という需給で対抗するのは、愚の骨頂です。そんなことは、やっている当の本人たちが一番わかっているのです。

 2022年10月25日付の日本経済新聞の記事には、こうあります。

「財務省幹部も『介入で円安が止まるとは思っていない』と話し、あくまで投機筋による行きすぎた円安の速度調整が目的との考え方を示している」

 そう、政府や日銀の頭のいい人はとっくに、「介入など意味はない」ということがわかっているのです。ちなみに、今の円安進行は投機筋の動きなどではなく、ファンダメンタルズに沿った動きです。どこから投機筋という言葉が出てくるのか不思議です。むしろ介入こそが、為替市場に大きな変動を与えています。どうせ、もとに戻ってしまうのですが。

 日本経済新聞ですら、10月23日付の「単独再介入、急場しのぎ」という記事で、介入について、「効果は短期的とみられ、背景にある日米の金利差や日本経済の成長力の乏しさは今後も変わらない。本来の問題に向き合わない急場しのぎにも映る」「構造要因の日米金利差が縮まない限り、介入は円安スピードを遅くする時間稼ぎにしかならない」と書いています。

「介入によって円安がどうにかなる」と思っているのは、素人だけなのです。