――筆者のバンス・セルシャック氏はKKRグローバル・インスティテュートのエグゼクティブディレクターで、新米国安全保障センターの非常勤シニアフェロー ***  【東京】ロシア軍が2022年2月にウクライナに侵攻した際、この紛争は米国主導によるアジアの秩序に災難をもたらすと思われた。米国はちょうどインド太平洋地域に注意を向けていたが、欧州での戦争は中国共産党の脅威から米国の関心をそらすことになるとみられていた。しかし1年近くたっても、ウクライナでの戦争はアジアにおける勢力の均衡を崩してはおらず、むしろ安定させているのかもしれない。