――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター ***  1990年代に始まったグローバル化ブームは自然に生じたわけではない。共通の「交戦規定(ルール・オブ・エンゲージメント)」を作成し、実施し、順守しようとする経済大国の意思によって円滑に運営されたものだった。  その総意がいま崩れつつある。ルールに基づくこの秩序を具現化した世界貿易機関(WTO)は次第に影が薄くなり、各国は国内産業を振興したり、競合国を狙い撃ちしたりするため、輸出規制や補助金、関税に頼り始めている。  これを米国のせいだと非難する声は多い。