中国経済にとって昨年は非常に厳しい1年だったが、今年は大きく飛躍できそうだ。経済成長率は19年の6%から22年に3%まで鈍化したが、23年は5%かそれ以上に回復するかもしれない。だが用心も怠るべきではない。強気シナリオは基本的に、西側諸国とりわけ米国で新型コロナウイルス流行が落ち着いた後に起きたことを前提にしている。20年の流行最悪期には、多くの人が家にこもって消費を控えた。21年に感染状況が改善すると、人々は消費を始め、経済が勢いづいてインフレにつながった。中国でもこれに近いことが起きてはいるが、見逃せない重要な違いもある。まず最も重要なのは、中国政府は米国のような多額の家計向け現金給付を行っていないということだ。中国の家計貯蓄はコロナ下で増加したが、米国ほど一気にではなかった。さらに、大半の家計にとって最大の資産である住宅は、ここ2年で価値が大きく目減りした。加えて、労働市場の柱である輸出、インターネット技術分野、および住宅市場は、依然として構造的あるいは循環的な逆風にさらされている。おまけに金融環境は相対的に引き締まったままだ。昨年12月は与信の伸びが弱く、債券利回りとマネーマーケット金利は足元で上昇している。